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用語集

あ行

  • 衣裳部

    衣裳を管理する部署。戦後の撮影所システム下、現代劇の場合は、傷んだ衣裳を繕い、洗濯して清潔に保ち、シーン毎に的確に衣裳を準備するのが主な仕事だった。衣裳の調達は、テイラーや洋装店への外注や貸衣裳業者からの借用により行っていた。女性衣裳は服飾デザイナーにデザイン・製作を外注した会社もあり、その代表的な例はデザイナーの森英恵である。一方、時代劇の衣裳は、衣裳部のスタッフが呉服店から手に入れた反物で製作し、必要に応じて「汚し」を施した上で使用される方法が一貫して取られた。
  • 映倫

    日本において、映画の対象年齢を審査している(レイティング)機関。正式名称は映画倫理機構。戦後数年間はGHQが映画検閲を行っていたが、1949年に映画業界の自主規制機関として映画倫理規程管理委員会が設立され、映画の審査を行うことになった。これが映倫の起源だが、1957年からは業界から独立した第三者機関となった。
  • 大道具

    美術部に属するスタッフまたは部門のこと。大掛かりなセットを製作する装置係や、セットの背景を描く背景係によって構成される。大道具は、美術監督によるデザインや設計図をもとに作業に入る。画面における場景の構成や、家具建具調度品の製作あるいは調達、家屋・座敷の建築、樹木・岩石の飾りつけも手掛ける。
  • オンスクリーン/オフスクリーン

    スクリーン上には見えていないが、映画の世界(物語世界)の人物には感知できるであろう場所や事物を例えば「オフスクリーン空間」「オフスクリーンにあるリンゴ」と呼ぶことができる。これに対してスクリーン上に見えている事物であることを強調するためにオンスクリーンという言葉が使われる。 オンスクリーン/オフスクリーンという言葉は視覚的な情報だけではなく聴覚的な情報、音についても用いられる。オンスクリーンの音はスクリーン上に映っている人物や物から発せられている音のことであり、対してオフスクリーンの音はオフスクリーンの空間に存在する人物や物から発せられている音のことである。

か行

  • カチンコ

    →ボールド
  • カット

    編集において、あるショットから別のショットへとつなぎ合わせること。1990年代にデジタル編集が台頭するまでは物理的にフィルムを切断(カット)し、接合することで作られた。
  • カメラテスト

    映画の撮影において、カメラの調整およびカメラワークの確認のために行われるリハーサルのこと。多くの場合、スタッフもしくはエキストラが代役を務める。
  • カメラマン(キャメラマン)

    →撮影
  • 企画

    映画化するための素材を吟味する部門またはスタッフのこと。脚本家が執筆したオリジナル脚本はもとより、新しい小説・実話・漫画・伝記など、多くの候補から映像化できそうなものを選別し、決定する。企画部門で中心的な役割を担うのはプロデューサーである。
  • 脚本

    場所や時間を説明する柱書き、俳優が話す台詞、場面の状況や俳優の動作・行動を表すト書きによって構成されたテキストのこと。脚本の執筆者を脚本家あるいはシナリオ・ライターと言う。作品によっては、製作プロセスの進行のなかで脚本の改稿が重ねられ、複数の準備稿を経た決定稿が印刷・製本される。さらに撮影稿が別に存在することもある。撮影がすでに始まってから改訂されることもあり、脚本家あるいは監督が撮影現場で執筆したものは号外や差し込みと言う。
  • 教育映画

    児童の社会的、道義的教育を目的とした映画や、学術・技術の伝達を目的とした記録映画のこと。映画は当初から教育のための教材になりうるとして注目され、文部省は戦前より、映画教育デーや、「講堂映画会」運動を推進した。戦後は民主主義の徹底を目指した教育映画の製作が盛んに行われ、主に16ミリプリントの販売や貸し出しが行われた。現在教育映画の製作は減少したものの、国立映画アーカイブが優れた教育映画プリントの著作権処理・収集・保存に努めた結果、上映が可能となっている。
  • 教宣映画

    労働組合や政党が、大衆に向けて自らの考えを伝え、教育するために製作した映画の1ジャンル。
  • クロースアップ

    ある特定の事物をスクリーン上に大きく映すこと。映画においては人物の顔がクロースアップで映されることが多い。映画が作られはじめた当初、クロースアップは『おばあさんの虫眼鏡』(1900年)のように、アトラクション的な効果を狙っていた。『國民の創生』(1915年)や『イントレランス』(1916年)で知られるD・W・グリフィスが、この技法で登場人物の表情を示し、効果的に物語を語ったとされている。
  • 結髪(けっぱつ)

    役者の髪型を創り上げること、またはそれを職業とするスタッフのこと。床山(とこやま)とも言い、撮影所システム下では映画会社の俳優部に属していた。時代劇では役者の日本髪を結う作業のほか、かつらの製作も行う。白髪・坊主頭・最新のヘアスタイルなど、時代や役柄、テーマに合わせて様々な髪型に仕上げる技術が必要とされる。男性俳優の結髪はメイクが担当する(東映京都)など、撮影所によって役割分担や呼称に細かな違いがある。
  • 興行

    映画産業を構成する3つの部門のうちのひとつで、映画作品を観客に見せる部門のこと。他2部門は製作、配給。興行によって観客から得られた入場料金の収入を興行収入と呼ぶ。近年では、映画館での公開開始と同時に動画配信サービスで公開される映画も出てきており、ネット上でのレンタル料金を加味した額を興行収入と呼ぶ例も増えつつある。
  • 五社協定

    日活の製作再開に対する警戒から、松竹、新東宝、大映、東映、東宝の5つの映画会社が1953年に締結した協定のこと。当時、監督をはじめとしたスタッフや俳優の多くはそれぞれの会社に所属し、会社の所有する撮影所で映画の製作を行っていた。五社協定は、会社と専属契約を結んでいる監督や俳優について、他社が引き抜いたり一時的に借りたりすることを禁止する協定であった。1958年の日活の加入(六社協定)、1961年の新東宝の倒産といった変化がありながらもこの協定は存続していたが、各社の倒産や映画製作の方向転換・終了などに伴って1970年代前半に事実上消滅した。
  • 小道具(装飾)

    ベッドやテレビなど家具や電飾・看板・料理・証拠の髪の毛一本に至るまで、画面に写るもの、出演者が演技中に手に触れるもののうち、大道具ではない物品一般、およびそれらを調達するスタッフのこと。専門の小道具店から必要なものを調達する。持ち運びが可能であるかが、小道具を他から区別する目安となっており、たとえば馬やキリンといった動物類は小道具、降る雪は大道具でも窓に積もる雪は小道具である。また、帽子やアクセサリーなどは、身に纏う衣裳とは区別されて「持ち道具」と呼ばれ、小道具が担当する。

さ行

  • サイレント(映画)

    音がついていない映画のこと。無声映画とも。対義語として、音がついている映画のことをトーキー(映画)と呼ぶ。1895年にフランスのリュミエール兄弟が初めて映画の上映を行ってから約30年間、サイレント映画(ただし映画館ではほとんどの場合、ライブの音楽が提供された)の時代が続いたが、1927年にアメリカで長編トーキー『ジャズ・シンガー』が成功をおさめて以降、その作品数は減少していった。日本では、サイレント映画の上映中に解説を行う弁士(活動弁士)が人気を博していたこと、映画1本の製作費が低く抑えられていたことなどの複合的な理由で、トーキーの導入と浸透は遅れた。
  • 撮影

    撮影・現像・映写を通じて、映像技術に関するすべてに対して責任を負う部門またはスタッフのこと。撮影部門の統括者たる撮影技師(カメラマン)のもと、チーフ(色彩設計)、セカンド(ピントマン)以下、撮影助手がそれぞれの役割を担う。撮影技師は、打ち合わせの段階において脚本や監督の意図を汲み取り映像のルックを決める立場にあり、現場ではカメラポジション、構図を決め、実際にカメラを操作して撮影作業を行う。ポストプロダクションでは映像の色味や画調に関して指示を出す。なお、ハリウッドでは撮影監督(Director of Photography)が照明をも統括するが、日本では伝統的に照明部と撮影部は対等であり、撮影技師と撮影監督は必ずしも同義ではない。また、映画の撮影所(とりわけ京都)ではカメラを「キャメラ」、撮影技師を「キャメラマン」と呼び、写真やテレビと区別してきた。
  • 色彩計測

    かつてフィルム撮影が主流であった時代に存在した職務で、チーフの撮影助手が担った。照明あるいは自然光が当たった部分がどのような色で映るかを確認し、その結果や特徴をふまえ、カメラの露出を調整する役割を担う。撮影後には撮影技師からの注文に従って、映像の色味や濃淡を整えるべく、フィルムの加工処理を行う。
  • 時代考証

    主に時代劇や歴史物などの描写内容を確認する仕事、またはその仕事を担うスタッフのこと。装置・小道具・衣裳などの物品から、作法・風俗・生活様式・話し言葉・政治制度に至るまで、映像作品におけるあらゆるアイテムや内容と史実との整合性をチェックし、各分野における専門家の見解をふまえてアドバイスをする。
  • フィルムの長さ、およびカットやシーンの持続時間のこと。作品自体の時間を指す場合もある。
  • ジャンル

    作品のテーマやプロット、登場人物のタイプやストーリーの語り方、アクションの舞台・背景などの特徴を慣習的に共有する一定数の作品群のこと。各ジャンルに単一の厳密な定義はなく、多くの場合、複数のカテゴリーにまたがっている。西部劇、ホラー映画、ミュージカル映画などのジャンルがある。
  • 松竹

    映画や演劇の製作、興行、配給を手がける会社。1985年の創業当初は歌舞伎が専門であったが、1920年に松竹キネマ合名会社を設立し、蒲田(東京都大田区)に撮影所を開設して映画製作を開始した。30年代および50年代には女性観客向けのメロドラマと人情ものを量産し、中でも『君の名は』(1953年)は観客動員数を塗り替えるヒットを記録した。1960年前後からは大島渚をはじめ若い監督が台頭し、「松竹ヌーヴェルヴァーグ」と呼ばれた。1969年には『男はつらいよ』が開始、1996年にシリーズが終了するまで、同社の看板作品であり続けた。
  • 照明

    画面内の特定の範囲に光を当てるライト、および撮影現場で照明の設計を担当するスタッフのこと。照明技師とも言う。照明技師は撮影前には監督、カメラマン、美術監督との綿密な打ち合わせとロケハンを通して、撮影における具体的な照明の方法を考える。撮影現場では、全体のバランスを考慮しながら、ライトの位置や強弱を決め、レフ等を操作して、照明設計をする。ほとんどの映画の照明は明確な意図のもと計画的に配置されており、観客の視線を誘導したり、明暗のコントラストによって劇的な効果を発揮したりする。
  • 助監督

    監督の補佐をする仕事。ひとつの作品に複数人の助監督がつくことが多く、「チーフ」、「セカンド」、「サード」、場合によっては「フォース」まで序列がある。チーフ助監督はスケジュール管理、監督他メインスタッフとのやり取りやロケハン、セカンドは現場進行、エキストラの誘導や衣裳・メイク担当者との連携、サードはセカンドの補佐、美術・小道具担当者との連携その他雑用、フォースはサードの補佐を行う。カチンコ(ボールド)を打つのも助監督の重要な職責であり、通常は最も序列の低い者が担当する。監督や俳優が映画会社の撮影所に所属することが一般的だった時代は、助監督として就職し、経験を積んで監督を目指すというキャリアパスが主流であった。しかし現在は撮影所システムも解体され誰でも映画を作ることのできる時代となっており、監督になるための足掛かりとしての助監督というような、かつての関係性はほとんどなくなっている。
  • ショット

    カメラが動き始めてから止まるまでに撮影されたひと続きの映像。撮影時においてはカメラが動き始めてから止まるまで、編集時においてはふたつの編集された映像の間の一連の映像を示す。
  • 新東宝

    1947年から1961年まで存在した映画会社。1946年に勃発した東宝争議において、争議へのかかわりを拒否した俳優陣が「十人の旗の会」を結成。その他スタッフたちが加わり1947年に「新東宝映画製作所」を設立し、新東宝が誕生した。当初は黒澤明の『野良犬』(1949年)、溝口健二の『西鶴一代女』(1952年)等の名作が生まれたが、1953年に大蔵貢が社長に就任すると作風は一変し、エログロ、怪談、サスペンスといった娯楽作品が中心となった。薄利多売方式が赤字経営へと導き、1961年に倒産した。
  • 製作

    映画産業を構成する3つの部門のうちのひとつで、映画作品を作り上げる部門のこと。他2部門は配給、興行。映画を作る行程において、「製作」と「制作」を区別することもある。この場合、製作は予算や収入の管理など金銭・ビジネス面での業務のことを指し、制作は撮影や演出などのより芸術的な面での創造作業のことを指すことが多い。
  • セルロイドの天井

    映画界において女性が監督や脚本家などとして活躍する機会を阻む、目に見えない障壁のこと。女性や社会的少数者の昇進を阻む「ガラスの天井」から派生した言葉で、セルロイドは映画のフィルムに使用される素材である。2020年のアメリカにおける興行収入トップ100の監督、脚本家、プロデューサー、編集、撮影監督を務めた女性の割合は21%にとどまっている。
  • 宣伝

    映画作品をより広く知ってもらうために行う活動のこと。映画宣伝は製作者や配給会社、興行の場である映画館などが行う場合もあれば、映画宣伝を専門とする宣伝会社が行う場合もある。
  • 装飾

    →小道具

た行

  • 大映

    かつて存在した映画会社。1942年、戦時統制の一環として企業統合が行われた結果、新興キネマ、大都映画、日活の製作部門が合併され、大日本映画製作株式会社(大映)が誕生した。占領期から50年代にかけては「母もの」と呼ばれるメロドラマ、60年代は勝新太郎と市川雷蔵によるシリーズものなどの娯楽作品で人気を博した。一方で、黒澤明の『羅生門』(1950年)の受賞以来、国際映画祭へ積極的に出品し、溝口健二の『雨月物語』(1953年)等が海外で受賞。カラー作品にも注力し、インドで撮影された70ミリのカラー大作『釈迦』(三隈研次監督、1961年)も製作した。しかし業績の悪化に伴い、71年に倒産した。
  • 殺陣(たて)

    チャンバラや乱闘のシーンにおける闘争の演技のこと。時代劇では殺陣といい、刀や武器、体術を用いて格闘をする立廻りを役者に指導する人を殺陣師という。現代劇では技斗(ぎとう)と言い、アクション映画などにおける格闘の演技を役者に指導する人を技斗師またはアクション監督と言う。
  • テスト

    →カメラテスト
  • 東映

    1951年、東京映画株式会社が東横映画と太泉映画を吸収合併し、社名を「東映」と変更して発足。京都にも撮影所を設立し、片岡知恵蔵、市川右太衛門、中村錦之助、大川橋蔵らのスターを擁してチャンバラ映画を多数製作。また、1954年に二本立て興業を始め、他社もこの方式に追随した結果、日本映画界は量産体制に入った。60年代には、時代劇人気に翳りが出ると暴力と性描写を先鋭化させて対処する一方、義理と人情をテーマとするやくざ映画の製作で人気を博し、70年代にはその内容を過激化・現代化した『仁義なき戦い』(1973年)などの「実録路線」が一世を風靡した。
  • 東宝

    1943年、株式会社宝塚劇場が東宝映画株式会社(1931年に設立された写真化学研究所〈Photo Chemical Laboratory(通称P.C.L.)〉などの合併会社)を吸収し、映画製作を始めたのが起源である。1946年より1950年まで東宝争議とその余波で社内が荒れたものの、ゴジラ映画に代表される特撮物に力を入れつつ、黒澤明や成瀬巳喜男の作品を配給。60年代に入ると「社長」シリーズ、「駅前」シリーズといったシリーズもので人気を博し、70年代にはアイドルを起用してかつての名作をリメイクした。
  • トーキー(映画)

    映像に音声がついている映画のこと。つまり、映画フィルムのサウンドトラックのように、映像に音声が分かちがたく結び付けられたフォーマットをもつ映画のこと。動く映像に音声、音響を付ける試みは映画史の最初期からなされていたが、技術的に同期が難しく、初期の映画は無音の映像のみで構成されていた。このような映画をサイレント映画(無声映画)と呼び、その対義語として音声のついている映画をトーキー(映画)と呼ぶ。長編トーキー映画として初めて商業的・批評的な成功をおさめたのは1927年アメリカの『ジャズ・シンガー』で、日本では1931年の『マダムと女房』が本格的なトーキー時代を開いた画期的な作品とされている。
  • 床山(とこやま)

    →結髪

な行

  • 日活

    国内の活動写真商社4社が合併し、1912年に創立された映画会社。1942年、戦時統合により製作部門が切り離され、外国映画の配給を専門とする会社へと変わるものの、1954年に製作再開を果たす。1956年に『太陽の季節』(古川卓巳監督)等が予想外のヒットを記録すると、石原裕次郎等のスターを配した娯楽映画を量産。「無国籍アクション」、「青春純愛路線」等の作品群を生んだ。1971年に成人映画のみを製作する「ロマンポルノ」路線へと舵を切ると、悪化した業績を回復させた。

は行

  • 配給

    映画産業を構成する3つの部門のうちのひとつで、出来上がった映画作品の権利を購入し、映画館や動画配信サービスに提供する部門のこと。他2部門は製作、興行。主な業務は「買い付け」、「劇場ブッキング」、「宣伝」である。世界中の国際映画祭に参加して作品を買い付けるだけでなく、国際映画祭への日本映画の出品も行う。宣伝業務は、予告編の作成、スターの会見や舞台挨拶の実施、メディアへの発信等である。以前は作品のフィルムを映画館に貸し出すのが一般的であったが、映画製作のデジタル化に伴って現在では作品のデータを上映施設やプラットフォームに供給する方式が主流となっている。
  • 美術部

    映画作品のセットを製作するチームのこと。室内空間のみならず、建築、街並み、自然、災害等、画面内に映るあらゆる景色を隅々までデザインし、監督の世界観を視覚化する上で最も重要な役割を担う。まず美術監督が監督他技術者との打ち合わせでセットの内容を大まかに決めると、セット上の建物や配色に関するデッサンを描く。次に美術監督の監修に従って、装置のスタッフがセットの建築・塗装や、小道具の調達、インテリアの装飾等、各役割に応じて携わり、完成させる。
  • 美粧

    →メイク
  • フレーミング

    フレーム内にどのような事物をどのように配置するか決定すること。フレーミングによってスクリーンで映し出される印象が変わるため、映画を撮影する際の重要なポイントとなる。また、フレーミングはモンタージュと同様に批評の対象となり、観客が映像を見た際のスクリーン上の事物の配置それ自体を表す語として用いられる場合もある。
  • 文芸映画

    文学作品を原作に製作された映画作品のこと。
  • 弁士

    サイレント映画(無声映画)を上映する際に、スクリーンの脇にいて場面の解説を行う職業のこと。活動弁士、映画説明者ともいう。音のついているトーキー映画がなかった時代の日本ではサイレント映画を弁士と伴奏付きで楽しむ鑑賞方法が主流であった。弁士はそれぞれ個性的な語りを行うため特定の弁士目当てで観客が集まることも多かったが、トーキー映画が導入されてからは職業そのものの必要性が無くなり、1930年代中盤以降、弁士の文化は一気に廃れていった。とはいえ現在に至るまで弁士は職業として存在し、様々なイベントで弁士付き上映を楽しむことが可能である。
  • 編集

    カット(一片のフィルム)と他のカットをつなげる作業のこと。編集技師(エディター)には助手がつく。フィルム時代には、撮影済みの生フィルムを現像したネガからポジが作られ、脚本、スクリプターの記録、監督の指示(本人が立ち会うことも)をもとに、必要であれば撮影や録音など他部門とも連携しつつ、編集作業が行われた。編集済みのポジプリントがネガに反映され、そこから上映用プリントが焼かれた。字幕を入れるテロッパーや、カット間で合うように画調を修正するカラコレも編集部に属する。
  • ボールド(カチンコ)

    映画の編集時に各テイクを識別し、かつ音声とフィルムのタイミングを合わせるために使用される道具。音の鳴る拍子木部分とボード部分から成り、ボード部分には製作タイトル、シーン、ショット、テイクなどが記される。

ま行

  • 満映

    1937年から1945年まで満州国に存在した映画製作所。正式名称は「満州映画協会」。国策映画の製作を目的として、日本から技術者を招聘し、現地の俳優練習生を訓練した。撮影所は新京郊外に作られた。満映の作品は、娯民映画、啓民映画、時事映画の3種類に分けられ、日本人スタッフは、現地の人たちの「啓蒙」を目的とした啓民映画を主に製作した。1945年に日本が敗戦を喫すると、撮影所と機材はソ連軍に接収される。戦後45年以上を経て、ロシアの国立映画保存所で大量の満映フィルムが発見された。
  • メイク

    俳優が演じる役に合わせて化粧を施すこと、またはそれを職業とするスタッフのこと。演者をより美しく見せるためのみならず、老け役・悪役・怪我人役など、あらゆる役に合わせて演者を別人に変えるために技を振るう。現在はCGが駆使される傾向にあるものの、SF映画やホラー映画では特殊メイクが採用され、ラバーやシリコン等を使用して未知の顔や体が造形される。また、時代劇において、かつらをつけた俳優に合わせてメイクを施すスタッフ及びその仕事を「美粧」と言う。
  • メロドラマ

    善悪の葛藤のような明確な二項対立を中心に物語が展開し、主人公が多くの災難と苦難を経験しつつ、最終的には救われるという形式を基本とする映画ジャンルのひとつ。観客の情動に強く訴えかける誇張された演出・音響などを特徴とする。
  • モンタージュ

    1.映画制作者が撮影した様々な映像(ショット)を繋ぎ合わせてひとつの連続性のある映像にする作業のこと。編集と同じ意味で用いられる場合も多い。現在映画の撮影・編集はデジタルが基本であるが、映像がフィルムで撮影されていた時代には映像編集は物理的にフィルムを切断したり接合したりすることによって行われていた。 2.完成した映画作品に対して批評や感想を述べる際に用いられる用語で、映像の組み合わせのことを指す。どのように映像が繋ぎ合わされ展開されていたかということは物語の意味理解や映像表現の美的理解に大きく関わるため、重要である。1と同じく、編集と同義で用いられる場合が多い。 3.特定の時代に特定の地域で頻繁に使用された、もしくは理論として唱えられた映像編集技法のこと。ただし、この意味で言及される際には「ソヴィエトモンタージュ」などの固有名称が使われる場合が多い。

ら行

  • レイティング

    映画業界におけるレイティング(システム)とは、規定に従って映画を対象年齢別に分けることを指す。国や地域ごとに規定は異なり、それぞれ特定の機関が審査し作品の対象年齢を決定する。日本においては映画倫理機構(映倫)がその役目を担っており、現在ではG、PG12、R15+、R18+の四段階で映像作品を審査している。
  • 録音

    役者のセリフや効果音、環境音など、映画に必要な音声を収録する作業のこと。映画製作における音響の主たる担当者を録音技師、メイン技師の補佐役を録音助手と言い、チーフ、セカンドといった序列がある。録音技師の主な任務は現場での録音であり、仕上げ(ポストプロダクション)における整音、効果音の作成・録音、ミックスなどはそれぞれ別の担当者が行うが、ともに録音部に所属し、録音技師のなかには仕上げも担当する者もいる。映像と音声が同期した映画であるトーキーが登場した1920年代終わり以降、映画の音声を録る必要が生じた。撮影現場では、カメラのフレームに入らない程度に役者にマイクを近づけて、セリフ及び現場音を収録する。その際、マイクを操作して音の距離感を生み出し、映像に応じた音の演出も行う。また、活用できそうな予備の音を可能な限り録音することも重要な任務である。仕上げでは、映像に合わせて音質や音の強弱を整える整音作業を行った後、セリフ、効果音、音楽をミックスする「ダビング」作業をし、作品1本の音を完成させる。歌や楽器の演奏など先録りしたものに合わせて撮影することをプレスコという。

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